3年で辞める若者の5年後

「若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来」という本を読み返してみた。
自分も3年以内に辞める若者の一人になってしまったので。


この本は、自分が感じていた現代社会の「ひずみ」の正体を教えてくれる。
「ひずみ」の正体、それは、若者を食い物にして生きながらえる「昭和的価値観」に基づいた「年功序列」と言う名のリバイアサンだ。(リバイアサンは、老害とでも言うべきか?)
しかし、「だから日本はダメなのだ」というだけの本ではない。
それ以上に、若者に対するエールを感じることが出来、勇気がわいてくる。
「なんだかよく分からないけど、今のままで良いのか、なんとなく不安だ」という人には一読をお勧めしたい。

年功序列というレール。そして、昭和的価値観に支配された世界。少なくとも1980年代までは、
(人生色々あったにせよ)多くの人がそのなかで生き、人生トータルではプラスだと感じていたはずだ。
ただ現在のところ、多くの人が現状に強い閉塞感を感じているのも事実だろう。特に若者の場合、
それは強い負担と、時に絶望さえともなって四六時中襲ってくる。

実は、いまだに自分の人生、不安だらけだ。
今の努力が結果に繋がる保証はないし、そもそも努力することに意味があるのか?と考えることもある。
それどころか、留学生のがんばりなどを見ていると、今の行動が努力というに値しないとも思う。

自分がそのレールに止まるべきか、それとも別の道を探すべきか、
どちらがよいかは各自が判断するしかない。
いずれにせよ、まず若者はやるべきことが一つある。それは、心の鎖を解き放つことだ。
われわれは年功序列システムのなかで、いつの間にか心まで枠にはめられてしまっている。
その枠とは、「待っていれば誰かが必ず正当を与えてくれる」という固定概念だ。
それを捨てて、自分にとっての正答は何か、一度問い直さなくてはならない。
いわば、失われた動機を取り戻すのだ。
「何のために働くのか」

「何のために働くのか」いまだによく分からない。
恋人でもいれば、「君を幸せにするために働く」ということもあるのかも知れないが、そう思ったことはない。
(結婚した人は、それを見つけたのだろうか?)
強いて言えば、自分の楽しみのため、他人に認められたいため、だろうか。
「これ俺が作ったんだ。すごいだろう」と言いたい。
そんな程度のモノでしかない。
20後半にもなって恥ずかしい話だ。


自分の乗ったレールはどこに通じているのか。そして、自分の欲するものはなんなのか。
もしそれが自分のレールの先になさそうだ、と感じるのなら、自分で主体的に動き始める必要があるだろう。
具体的には、上司に対し、自分の希望を伝え、望むキャリアに沿った業務を勝ち取る。
社内公募やFA制度のような制度があるなら、それらを利用してキャリアを形成していく。
それでも解決にはほど遠いなら、より理想とする企業への転職も検討する価値はあるだろう。

自分は、大学を卒業するときレールを降りた。
「大企業」に自分の欲するものはなさそうだったので。
だから、人生の上で3回以上転職するであろうことも織り込み済みで、
その中には海外への転職もあると考えている。
今回はその1回目だ。



しかし、今現在ちゃんとした企業に勤めている人には、転職はオススメしない。
大半の人は、転職することによって今より待遇が悪くなるだろうから。
今の大企業の待遇というのは(賃金だけに限らず、様々なチャンスにおいても)素晴らしいと思う。



大事なのは、今現在どんな場所にいるにせよ、自分の5年後・10年後を自分の頭で考え、少しでも良いであろうと思う方向に、一歩一歩進んでいくことだろう。
ただ努力するだけで、方向性が間違っていては意味がない。



資格を取ろう。英語が出来るようになろう。小さなチームでも良いからマネジメントの経験を積もう。新しいプロジェクトにはなるべく参加しよう。専門以外のことも勉強しよう。もちろん専門を深めるのも忘れずに。
その積み重ねが、5年後・10年後に花咲くと信じている。